技術・事業紹介 私たちの技術力を紹介します

私たちは独創的な技術を活用することで環境・食糧問題にかかる人類課題を解決し、持続可能な社会を実現することを目指しています。

エレクトライド触媒

東京工業大学の細野グループにより、世界で初めて電子がマイナスイオンとして振舞うエレクトライド(電子化物)の合成を、安価なセメント材料を用いて実現しました。(2003年Science誌掲載:以下「C12A7エレクトライド」)

また、細野グループは、C12A7エレクトライドの電子を与えやすい性質を利用し、簡単に窒素分子の結合を切ることが出来るのではないかと考え、アンモニアの合成触媒として適用したところ、これまでの触媒よりも活性エネルギーが半分、TOF※1が一桁高いという結果が得られました。(2012年Nature Chemistry誌掲載※2)

これによりハーバー・ボッシュ法の鉄触媒と比較して、より低温・低圧でアンモニアを合成できる、新たな触媒として現在注目されています。当社はこのエレクトライド触媒を用い、それに合わせたプロセスを開発し、この技術を世に出すことでアンモニアのサプライチェーンイノベーションを起こすことを目標にしています。

※1 Turnover Frequency:一つの触媒サイトにおいて単位時間あたりに生成物に変換できる分子数の最大値
※2 “Ammonia synthesis using a stable electride as an electron donor and reversible hydrogen store.” Nature Chemistry. https://www.nature.com/articles/nchem.1476

オンサイトアンモニア供給システム事業

当社は、東京工業大学の細野グループが開発したアンモニア合成触媒技術および、その触媒に合わせたプラントを設計することにより、アンモニアの一極集中&大量生産という常識を打ち破るオンサイト生産技術を確立。輸送、貯蔵コストを抑え、環境負荷の抑制及びコスト低減に寄与します。

既存法とつばめ法の比較

活用例

農業用肥料用途

アンモニアの用途の80%以上が肥料用途となっている。アンモニアを生産していない国々は多く、2015年で120以上の国や地域で生産出来ていない。従い、そういった国々は大きく高額な既存のアンモニアプラントを導入できず、海外から高いアンモニアや窒素系肥料を購入してきている。作物を効率的に作るために必要な窒素系肥料を必要としている、こういった国々にこの技術を導入することは社会貢献にも繋がると考えている。

発酵原料用途

発酵によるアミノ酸生産にアンモニアは使われる。アミノ酸のアミノ基には窒素原子が入っており、発酵生産時に足りない分を補う形で導入される。化学合成法とは違い、発酵によるアミノ酸の工場は原料となる砂糖が採れる内陸地にあることが多く、海岸地域で生産されるアンモニアを輸送して使用しているためアンモニアを高く購入していることが多い。そこでこの技術を用い工場に必要なアンモニアのみオンサイトで生産することによりコスト低減に繋げる。

グリーンアンモニア用途(水素キャリア等)

昨今の再生可能エネルギーの急激なコスト低減は大きな機会であり、エネルギー及び水素キャリアとしてのアンモニアの活用が注目されている。送電線の不足などで活用しきれないエネルギーも多くあり、その場で水と空気からアンモニアを生産し化学品、肥料など多様な用途に利用する地産地消モデルを提案できる。常圧で発生する電解水素を用いたアンモニア合成には当社の低圧で合成できる触媒が適している。小型サイズのプラントというのも限られている太陽光発電や風力発電近くの敷地に導入できるという点でメリットの一つとなり得る。

また現在のアンモニア合成は大変多くの二酸化炭素を水素原料の生産時に発生させているため、グリーンアンモニアでアンモニアを合成することで二酸化炭素排出を抑制する効果がある。

火力発電所・ごみ焼却所向け脱硝用途

火力発電所やごみ焼却所では焼却時に発生するNOxの分解のためにアンモニアを使用している。火力発電所やごみ焼却所の近くにアンモニア工場がなく遠くから輸送してくる場合、顧客は非常にコスト高のアンモニアを購入している。当社の技術を用いれば、顧客の敷地内でプラントでの使用量に合わせたアンモニア生産を可能にし、コスト低減に寄与できる。火力発電所の場合、水素源としてLNGや石炭、若しくは余剰電力から作られる電解水素などを利用することが出来る。

半導体向け高純度アンモニア用途

半導体の窒化膜の生産時等にアンモニアを使用しているが、この半導体用途のアンモニア使用量は多くないものの、非常に高い純度が求められ市況価格の20~50倍程度の価格で購入されている。当社の技術を用いれば半導体工場の中で高純度アンモニアを生産できる可能性があり、大きなコスト低減に繋がると考えられる。

東京工業大学とアンモニア合成法開発の関係

世界の人口は約70億人以上。このうちの「10 億人近くを東工大が養っている」。こういうと誇大妄想と叱られそうですが、根も葉もない話ではないと言えます。

1950年代までは、地球が養えるのはせいぜい30億人と考えられていましたが、1950年には25億人に達しました。(下図参照)東工大関係者の努力なしには、地球の人口は今の半分にも満たず、食糧をめぐる争いは熾烈を極めたに違いないと考えられます。私たちの生存に欠かせないものの筆頭が食糧によるものだからです。その食糧生産に不可欠な窒素肥料はチリの硝石に頼っていましたが、それが枯渇し始めた時に、代替法として空気中の窒素(N2) から 直接 窒素肥料の基となるアンモニア(NH3) を工業的に生産することに成功したのがかの有名なHaber グループで、高校の化学の教科書にも出てきます。

ドイツ留学中にこのグループの一員として活躍したのが田丸節郎氏。帰国後、田丸氏は東工大の発展に尽力し、初代図書館長を務めました。この偉業が達成されたのは1913 年で、論文として確定したのが1914 ~ 1915 年ゆえ100年以上前の話になります。

田丸氏の流れを受け継いだわけではないですが、その後、東工大では1960 年代後半から70 年代にかけての尾崎萃氏や秋鹿研一氏らのグループ、さらには細野秀雄栄誉教授らのグループによって、新しいアンモニア合成用触媒の開発と高性能化が成し遂げられました。

田丸節郎(1879〜1944年)

中央左:節郎、中央右:Haber(1913)

(出典)東京工業大学博物館 史資料館部門『アンモニア合成を通して人類を支えた人たち』