本文までスキップする

お知らせ News

つばめBHB川崎分室にオンサイトアンモニア製造パイロットプラントが竣工 〜世界初のエレクトライド触媒を用いたアンモニア製造技術の実現に向け前進〜

Publish :
2019.10.07

つばめBHB株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 渡邊昌宏、以下「弊社」)は味の素株式会社川崎事業所内に設置する弊社R&Dセンター川崎分室において、年間数10トンの生産を可能とするオンサイトアンモニア製造パイロットプラントを竣工しました。このパイロットプラントは、世界初の試みとなる、東京工業大学の細野秀雄栄誉教授らが科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業ACCEL注1)「エレクトライドの物質科学と応用展開」(研究代表者:細野秀雄、プログラムマネージャー:横山壽治)の研究開発により発見・発明したエレクトライド触媒を用いたアンモニア製造装置であり、今月より連続運転を開始します。今後、弊社はこの連続運転を通じて長期耐久性、最適な運転条件などの実用化に向けた各種データを取得し、弊社がターゲットとする年産数千から数万トンスケールのオンサイトアンモニア製造装置の量産に向け、準備を進めてまいります。

現在、アンモニアは100年以上前に発明されたハーバー・ボッシュ法(以下「HB法」)を用いて主に生産されています。HB法は空気中の窒素と、天然ガス等から得られる水素注2)のみでアンモニアを合成することができる非常に優れた生産技術であり、世界中で広く活用されています。一方、HB法は高温かつ高圧の反応条件が必要であり、高いエネルギー負荷がかかる大型プラントでの一極集中・大量生産を行わなければならず、設備投資が高額になるという課題があります。加えて、アンモニアを生産拠点から世界各地に点在する需要地に輸送するためには、専用の運搬装置と保管設備が必要であることから物流コストが非常に大きいことが課題となっています。

この課題を解決するために発明されたエレクトライド触媒は、低温・低圧条件下で高効率のアンモニア合成が可能であることが特徴です。低温・低圧の反応条件であることから、従来HB法では難しいとされた年産数万トン以下の小規模プラントでの生産が可能となります注3)。将来、この技術の実用化により、必要な量のアンモニアを必要とされる場所で生産する、「オンサイトアンモニア生産」モデルの実現が期待されます。

つばめBHBは、味の素株式会社の国内外発酵素材工場に本技術を導入し、2021年頃を目処に世界初のエレクトライド触媒を用いたオンサイトアンモニア生産の実用化を図ります。将来的には味の素株式会社に加え、様々なパートナー企業と連携し、農業肥料、食品・医薬品、化成品等への適用拡大を図り、より環境に配慮したサステナブルな生産システムの実現を通じて社会への貢献を目指します。

 

注1)科学技術振興機構の事業の一つで、世界をリードする顕著な研究成果のうち有望なものの、企業などではリスクの判断が困難な成果を抽出し、プログラムマネージャーによるイノベーション指向の研究開発マネジメントにより、企業やベンチャー、他事業等に研究開発の流れをつなげている。
注2)宇宙で最も多く存在する元素。近年では燃料電池車の燃料等クリーンエネルギーとしても着目されている。
注3)一般的に、HB法によるアンモニア生産は年産数10万トンスケール以上のサイズが必要。

 

プレスリリースPDF