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お知らせ News

NEDO「グリーンイノベーション基金事業・燃料アンモニア サプライチェーンの構築プロジェクト」へ参画 〜大規模アンモニアプラントに用いられる非貴金属触媒の量産化開発を開始〜

Publish :
2022.01.07

つばめBHB株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役CEO 渡邊昌宏、以下「つばめBHB」)及び国立大学法人東京工業大学(本部:東京都目黒区、学長 益一哉、以下「東工大」)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築」に対し、2021~2030年度を事業期間と想定した「アンモニア製造新触媒の開発・実証」と題したプロジェクト(以下、本プロジェクト)の中で重要な役割を担う「非貴金属触媒の研究開発」(2021~2024年度で開発予定)の再委託先に選定されましたのでお知らせします。尚、本プロジェクトは千代田化工建設株式会社が主幹事となり、株式会社JERA、東京電力ホールディングス株式会社が共同で実施し、再委託先を定めています。

東工大細野研究室、北野研究室においては、これまでつばめBHBと開発及び実証してきたエレクトライドのコンセプトに立脚したアンモニア合成触媒の研究を更に進めており、本プロジェクトにおいて非貴金属触媒の開発を推進します。また、つばめBHBは2017年の設立以降、触媒の工業化を実施しており、製造方法の検討やパイロットプラントにおける実証など触媒の工業化ノウハウを活用し、非貴金属触媒の工業化を進めます。

つばめBHBおよび東工大は既に研究開発を進めている非貴金属触媒の研究開発を本委託によりさらに推進し、大規模アンモニア製造プラントにて効率よくアンモニアを生産できる触媒の開発を目指します。

(出所)NEDO「燃料アンモニアのサプライチェーン構築」に着手(別紙2)事業概要資料より

本プロジェクト立ち上げの背景

1. ハーバーボッシュ法(以下、「HB 法」)を凌駕する低コストプロセスの必要性

現在、アンモニアは100年以上前に発明されたHB法を用いて主に生産されています。HB法は空気中の窒素と、天然ガス等から得られる水素注1)のみでアンモニアを合成することができる非常に優れた生産技術であり、世界中で広く活用されています。一方、HB法は高温(400~500℃)かつ高圧(10~30MPa)の反応条件が必要であり、高いエネルギー負荷がかかるプラントであるという課題があります。こういった課題を解決するために低温・低圧条件下で高効率のアンモニア合成が可能で商業化に資する触媒が求められてきました。つばめBHBは東工大と共同開発を行っているエレクトライド触媒を既に小型アンモニア製造プラント向けに量産化しておりますが、現状の商業触媒は貴金属を用いているため大型プロセスには適しておりません。東工大では、貴金属を使わない新しいアンモニア合成触媒を数多く生み出しており注2)、本プロジェクトを通じて大型プロセスへの適用が可能な非貴金属触媒の工業化を目指していきます。

2. 燃料用途のアンモニアチェーン構築の必要性

日本国政府は2050年カーボンニュートラル実現に向けて、脱炭素燃料の普及拡大や電力の脱炭素化を推進する必要があると発表しており、その脱炭素燃料の候補の1つとしてアンモニアが挙げられています。現在、アンモニアは肥料や工業原料として用いられていますが、燃焼時に二酸化炭素を排出しないため、発電用や船舶用などでゼロエミッション燃料としての役割が期待されています。一方で、燃料用途での市場が拡大すると現状の世界のアンモニア生産量では賄いきれないと考えられており、また同時に化石燃料に代わる燃料となるためにはアンモニア製造コスト・調達コストの削減が求められています。現在のアンモニア製造技術は海外のライセンサーが保有しており、今後エネルギーとしての活用を考えると、海外ライセンサーに依存しない国内企業によるアンモニア製造コストの削減を目指した製造技術開発が望ましいと考えられます。つばめBHBでは設立時から培ってきたアンモニア合成触媒の評価、実証、量産化のノウハウを活用し本プロジェクトの推進に寄与したいと考えております。

 

グリーンイノベーション基金の採択について(NEDOプレスリリース)

https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101502.html

 


注1)宇宙で最も多く存在する元素。近年では燃料電池車の燃料等クリーンエネルギーとしても着目されている。
注2)2020 年 7 月に東工大の元素戦略研究センターが発表した新たな触媒。
(これまで活性が乏しいといわれていた Ni を使った触媒を Nature 誌に掲載) https://www.titech.ac.jp/news/2020/047460

 

プレスリリースPDF