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つばめBHB、シリーズCで総額53億円を調達。 初の海外投資家参画、グリーンアンモニア生産を世界へ
- Publish :
- 2024.02.21
小型分散型アンモニア製造プラントの社会実装・商用化を目指す当社は、このたびシリーズCラウンドとして、国内外の既存投資家及び新規投資家を引受主とした第三者割当増資による総額約53億円の資金調達を実施したことをお知らせいたします。
本シリーズCの第2ラウンド※1では初の海外投資家として、ドイツを本拠地とするHeraeus Beteiligungsverwaltungsgesellschaft mbH(以下、へレウス社)、国内の新規投資家として横河電機株式会社、株式会社環境エネルギー投資を引受先とした資金調達を実施しました。これにより当社の累計資金調達額は76億円となります。
※1 第1ラウンドは2022年7月にCE型新株予約権で調達
当社は2017年4月に世界初となるエレクトライド触媒を活用し、低温・低圧でアンモニア合成が可能な小型分散型アンモニア製造プラントでのオンサイトアンモニア生産の社会実装・商用化を目指し設立しました。へレウス社はドイツのハーナウを本拠地とする、多角的かつグローバルに展開する大手ファミリー経営のテクノロジー企業で、金属・リサイクルやヘルスケア、半導体・エレクトロニクス、そして産業というビジネスプラットフォームにおいて多様な活動を展開、世界40ヵ国、約17,200名の社員が在籍しています。
この度、へレウス社が初の海外投資家として参画したことにより、当社はヨーロッパを中心としたアンモニアの事業開発及びサプライチェーン強化を推進していきます。
EUは炭素国境調整措置(CBAM)を世界で初めて導入することを決定し、2023年10月から事業者に対する炭素排出量の報告が義務化、26年から排出量に応じ実際の課税を開始予定です。また、欧州委員会は今年2月6日に、EUにて2040年までに二酸化炭素排出量を1990年比で90%削減する必要があると発表しました。EUにおける二酸化炭素削減、気候変動問題に対するアクションが必要とされる中、化学、運送や農産業などを中心にグリーンアンモニアのニーズが高まっています。
当社が提供するエレクトライド触媒を活用した低温・低圧で生産されるアンモニア合成触媒は、小型アンモニア製造プラントのため、地産地消が可能です。石油化学コンビナートで大量生産されたものを調達する現行方式に比べて輸送や保管のプロセスが減るため、二酸化炭素排出量を削減することができます。
当社は、日本発のエレクトライド触媒技術を活用し、約400年の歴史を誇るヘレウス社と連携することで、小型分散型オンサイトアンモニアプラントによるアンモニア生産のローカライズ化、再生可能エネルギーを活用したグリーンアンモニア生産、水素アンモニアの製造を推進していきます。
参考:
JETRO EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)に備える
ロイター通信 EU、40年までに温室ガス90%削減を勧告 農業分野は後退
■ 直近の事業・開発状況
2022年12月に受注した国内初号機プロジェクトは、2025年8月の生産開始に向けて順調に進行しており、 詳細設計と調達は完了しています。2024年4月から主要機器工場受入試験を開始し、2024年5月より建設現場への納入開始を予定しています。
当社は、東京工業大学内にてR&Dセンターを保有し、約30名の研究者と共に触媒の研究開発を実施、味の素川崎事業所内パイロットプラントにて開発した触媒実証実験は、2019年から開始し4年が経過し、当社の技術がラボレベルではなく商用化に足るものであることを確認しています。オンサイトアンモニアプラントに適した触媒は商用化段階となっており、成形化と数十万倍のスケールアップ生産を実現、触媒性能運転を4年間休まずに運転し、性能の低下が全くないことを確認しました。
更には政府の補助金も活用しつつ短期間に次世代触媒の商用化への目途を立て、更なるコストダウンを実現していく予定です。
■つばめBHB、海外及び国内の基本設計を受注
昨年12月、当社初の海外初号機の基本設計を受注しました。2026年度からグリーンアンモニアの生産開始を東南アジアにて見込んでいます。また国内にて2号機目となるプロジェクトも基本設計を受注、同様に2026年度中にアンモニアの生産を予定しています。
さらに、昨年12月には、ラオスのビジネスパートナーであるAgri Laos Co., Ltd(以下、Agri Laos)およびラオス国営企業のState Enterprise for Agriculture Service(以下、SAS)との間で低炭素肥料のオフテイクアグリーメントにかかるLOI(Letter of intent: 基本同意書)に署名しました。当社とAgri Laosは特別目的会社(SPC)を組成し、ラオスの水力発電や再生可能エネルギーを活用したグリーン水素・アンモニアおよび低炭素肥料の製造するプロジェクト開発を進行、SASは当プロジェクトで生産される低炭素肥料を引取り、国内外に販売する予定です。
海外企業からの問い合わせは増加しており、現在、北米、南米、東南アジア、アフリカにおいて、各国の企業と共に小規模プラントでのオンサイトアンモニア生産の実用化に向けてプロジェクトを始動しています。
■ 今後の展開
このたび調達した資金は、さらなる小型分散型アンモニアプラントのコスト低減、中規模プラントの商用化に向けた研究・開発の促進、大型化を見据えた次世代触媒の技術開発費、事業において特に重要である人材の採用費・人件費に活用し、日本発の小規模アンモニア生産プラントの商用化に向けて推進してまいります。
■ 本ラウンドにおける投資家について
本ラウンドでは、当社初の国外投資家、 Heraeus Beteiligungsverwaltungsgesellschaft mbHをはじめ、下記企業に参画いただきました。
新規参加投資家一覧(※順不同)
Heraeus Beteiligungsverwaltungsgesellschaft mbH、横河電機株式会社、株式会社環境エネルギー投資
■ 本ラウンドに参画した投資家からのコメント
ヘレウスプレシャスメタルズ エグゼクティブ・バイスプレジデント 水素システム事業部門長 フィリップ・ヴァルター博士
ヘレウスは、貴金属をベースとした技術分野におけるイノベーションのリーダーとしての地位を長年確立してきました。つばめBHBの技術は、ヘレウスの投資基準に完璧に適合しており、最先端の持続可能な技術開発をリードする我々の取り組みをサポートしてくれます。この技術は、我々のすでに幅広い持続可能なソリューションを補完するものであり、エネルギー効率と脱炭素にますます重点を置くようになっている市場において、ヘレウスのポジションを強化するものです。
ヘレウス株式会社 代表取締役社長 山内 秀人氏
日本は、特に先端材料の分野においてイノベーションが生まれる市場です。ヘレウスは、世界をリードする素材技術グループとして、日本の企業、大学、研究機関との連携強化に大きな可能性を見出しています。今回のつばめBHBへの出資は、日本とドイツの企業が将来の市場において共に利益を上げ、成長していくための素晴らしい例になります。
横河電機株式会社 常務執行役員 エネルギー&サステナビリティ事業本部長 中岡 興志氏
現在、脱炭素社会の実現に向けて世界中で様々な取り組みがなされている中、当社も新しいエネルギーの動向に注目しています。当社としてもお客様同様に、水素の輸送媒体及び燃料としてのアンモニアのニーズは高まると考えています。つばめBHBの革新的な低温・低圧下でのアンモニア製造技術は、将来の脱炭素社会への重要なカギになると考え、今回の出資に至りました。当社の持つ、計測・制御・情報の技術を活用し、つばめBHBと共に持続的に価値を共創し、社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。
株式会社環境エネルギー投資 取締役 パートナー 細谷 賢由氏
あらゆる領域で待ったなしで脱炭素が求められる中、アンモニアは、水素キャリアとしてだけでなく、それ自体もクリーンな燃料として、船舶・航空機等の大型輸送の領域や、火力発電でのアンモニア専焼等での利用が期待でき、脱炭素のキードライバーとされていますが、そのためには製造過程においても再エネを利用する必要があります。低温低圧でのアンモニア製造を可能とし、製造設備の小型分散化を実現する当社の技術により、再エネを利用して製造されたグリーンアンモニアが世界中で活用され、脱炭素に貢献することを期待しております。
■ 本ラウンドに参画した投資家概要
Heraeus Beteiligungsverwaltungsgesellschaft mbH
ヘレウス・グループは、ドイツ・ハーナウに本社を置く、多角的かつグローバルに展開するファミリー経営のテクノロジー企業です。ヘレウスのルーツは、1660年に始まった家族経営の薬局にさかのぼります。ヘレウス・グループは、金属・リサイクル、ヘルスケア、半導体・エレクトロニクス、そして産業というビジネスプラットフォームにおいて、多様な活動を展開しています。
横河電機株式会社
横河電機は日本を代表する工業計器・プロセス制御システムの大手電機メーカーです。計測、制御、情報の技術を活用し、 エネルギー、化学、モビリティ、医薬品、水など、さまざまな産業を支え、社会課題の解決に貢献しています。
株式会社環境エネルギー投資
環境・エネルギー分野に特化したベンチャーキャピタルとして、2006年に設立。環境・エネルギー分野に特化したベンチャーキャピタルであり、脱炭素を中心に持続可能な社会の実現に貢献する革新的なビジネスモデルや技術を有するスタートアップ企業に対して投資や成長支援を実施しています。
■ つばめBHBについて(https://tsubame-bhb.co.jp/)
つばめBHBは、「独創的な技術を活用することで環境・食糧問題にかかる人類課題を解決し、持続可能な社会を実現する」を理念に掲げ、低圧・低温にて生産することで通常より大幅に二酸化炭素の抽出を抑える技術を活用し小規模分散型プラントでのオンサイトアンモニア生産の実用化を目指すディープテック企業です。2017年に創業、東京工業大学の細野栄誉教授が開発したエレクトライド触媒技術を活用し、現在は北米、南米、豪州、アフリカ等を中心に海外展開を強化しております。昨年は国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)に日本政府から誘致され、ブース出展しております。